Malpu Design

ホーム  ›  制作メモ  ›  清水良洋の制作メモ

制作メモ

デザインで工夫したところ、用紙・加工などの制作にまつわるお話です。

清水良洋の制作メモ

清水良洋

山の湯温泉

題名:山の湯温泉
判型:B全
印刷:関西美術印刷


画 :田中海帆さん
AD&D:清水

sm160412_01.jpg

sm160412_02.jpg


〈ポスターを描く4〉で田中海帆さんと組んで制作した
〈山の湯温泉〉のポスターです。


テーマ決めで海帆さんと色々相談している際に
「女の子の肌が描きたい」と海帆さんが言うのを
僕が「肌」を「ハダカ」と勘違いし(#⌒∇⌒#)ゞ
〈山の湯温泉〉をテーマしようと提案。


因に海帆さんは女学生を描く事が多く
前回の個展では小冊子をマルプでデザインしました。
そして今回は普段あまり描かない男子を描いた個展が開催されます。
皆さん是非是非お足をお運び下さいまし。


〈山の湯温泉〉に話を戻しますと
ここは佐野と僕のお気に入りで
仕事帰りにひと風呂浴びて帰宅してます。


湯加減もよく、清潔で実に気持ちのイイ銭湯なのですが
お客として行っているだけなので
突然番台へ「ポスター作らせて下さい」とお願いした時は
キョトンとされましたが、快諾頂きました。


タイポグラフィはタイルを模し、機械的な均一感を避け
ひとつひとつ置きました。
文字をちょっと濡れた感じにしたりと
案外に手を入れてるんですよ。


脱衣所の絵は構図など相談しつつ、海帆さんの描いたままです。
俯瞰の湯船の方は、パーツで描いたものなど僕が合成し
湯煙など足してます。


出来上がったポスターはフレームに入れ
番台の両脇に飾って頂いてます
僕は自分のデザインしたポスターを眺めながら湯に浸かる
というなんともグラフィックデザイナー冥利に
尽きる愉しみを味わってます。


海帆さんもポスターに導かれ〈山の湯温泉〉へ
ギャラリー内で完結する事なく、自分の描いた絵によって
色々な出会いや場所へと拓かれて行くのってイイなと思います。
〈ポスターを描く〉はそうした機会へと繋がる
ワークショップでありたい、と当時の僕は思ってました。


ポスターを描く〉は2〜4、と巡回展に関わりました。
〈ポスターを描く〉はイラストレーターが参加費を支払い
グラフィックデザイナーは講師という役割で参加費は支払わず
イラストレーター自身のみでは制作出来ないテーマや刷り、
そしてデザインをします。


イラストレーター意欲を持っての参加ですが
それを受け止めるグラフィックデザイナーの方も
物理的にも精神的にも相当な負担になります。
そういうセッションを経て出来上がったポスターは
感慨もひとしお、達成感なるやそりゃ〜もうです。


参加者が顔を合わせて途中経過を報告しあう時
そして搬入で出来上がりをお披露目する時の緊張感たるや
参加者しか味わえない醍醐味です。


僕からお声掛けするグラフィックデザイナーが固定化しない様
またグラフィックデザイナー諸氏のご負担にならぬ様にと
〈ポスターを描く〉は4で僕は降板し、マルプOB黒瀬に舵取りを委ねました。


今の〈ポスターを描く〉は僕の考え方と変わって
新しい方向性となって5、6と大盛況と聞いてます。
これからも〈ポスターを描く〉は関わった皆さんにとって
よき機会になったらと陰ながら願います。


僕はやはりギャラリーの中での展示が目的のポスター制作より
ポスター制作が人や街との関わりが広がる機会とすべく
数年〈池ポス〉を試んでみます。
今年の〈池ポス〉が動きだし改めてそう思う


最後にもう1度田中海帆さんの個展!どぞよろ!!

清水良洋

海猫書房の見本市

書名:しびれくらげ
書名:愛のコリーダ
版元:海猫書房
判型:新書判 縦組 並製


装画:タケウマさん
模擬装幀:清水


*画像はタケウマさんからお借りしました。

sm160406_01.jpg

sm160406_02.jpg

只今、タケウマさんの個展開催中
実に5年振りの個展、是非みなさん足をお運びあれ!


本日の制作メモはちょっと趣向を変えて
模擬装幀をご覧頂いてます。


タケウマさんにはコレコレコレコレコレ等々
色々と描いて頂きました。


タケウマさんはアイデア出しから進行、
そして絵の仕上りまで、信頼出来る描き手です。


イラストレーター個人として精力的に活動されていますが
なりゆきサーカス〉でも活動されてます。


この〈なりゆきサーカス〉の活動がホントに充実してます。
イラストレーター諸氏は刮目してほしいです。
そしてその活動から多くの刺激を受けたなら
自分、自分達で〈なりゆきサーカス〉とはまた別な
活動を興したらイイなと願ってます。


僕は仕事だけでなく、コレコレコレなど
タケウマさんに色々お力添え頂いてるんです。本当にいつも有り難う!
そのタケウマさんとの出会いともいえるのがこの『海猫書房の見本市』なんです。


僕は模擬装幀を展示するのには懐疑的です。
「えぇ、頻繁にやってるじゃん」と言われそうですが
アレはワークショップとしてやっているんで
僕としては「違う」んですよね。


そんな僕が唯一模擬装幀の展示に参加したのは今の所コレのみ。
詳しくは当時の日報をご覧下さい。
その時も自画自賛してますが(苦笑)、今でも気に入ってます。
モチロン、タケウマさんの絵があってこその模擬装幀です。


重ねて只今、タケウマさんの個展開催中。
どぞよろ。

*この模擬装幀は2008年タケウマさん個展の際の作品です。今回の個展は新たな作品が展示されてます。

清水良洋

雑学うんちく図鑑

書名:雑学うんちく図鑑
著者:ケン・サイトー
版元:KADOKAWA
発行:15年8月24日 第一刷
判型:四六判 横組 並製


装画:ケン・サイトーさん
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:特色(DIC619)(DICフランスの伝統F240)2色+スミ1色=3色
 用紙:OKミューズガリバー グロスCoC 四六判 Y目 110Kg ハイホワイト
 加工:グロスPP
刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:特色(DIC619)1色+スミ1色=2色
 用紙:用紙:コート紙(何でも可お任せします。白色度の高いものを希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DICフランスの伝統F240)1色
 用紙:OK ・ACカード 四六判 T目 177Kg 栗
◎本扉
 刷り・用紙:本文共紙共刷り
◎見返し
 用紙:サイタン 四六判 T目 100Kg イエロー


見本頂戴日:15年8月13日

sm160325_01.jpg

いや~本書スゴイんです。
何がスゴイって、著者のケン・サイトーさんが
色々な〈うんちく〉を図解化してます。
図解の中の文字もサイトーさんの手書き。
だからクレジットは〈絵と文 ケン・サイトー〉なんです。


本書の担当編集Iさんとは
あれこれあれこれあれこれ、等
池上彰さんの図解本を作ってきましたが
そのあれこれの図解の多くをサイトーさんが担当。


Iさんがサイトーさんと話ていると
サイトーさんはかなり雑学の持ち主を判明!
「ならば自著を執筆されたら如何ですか?」となった。


流石イラストレーターが
〈自分の知ってる知識〉を〈自分で図解化〉しただけにワカり易い。


それぞれの雑学を補足する〈ハミダシうんちく〉もあり、
細やかな編集がよりワカり易いです。


昨年夏に配本から
「イラストが〈かわいい〉〈ワカり易い〉と評判でしたが、
北斗晶さんが自身のブログで紹介頂き、今話題の1冊となりました。


愉しく肩のこらない、そして雑学を知る1冊!
是非オススメします。


装幀は「表紙に〈隠しうんちく〉で、
没ネタや小ネタを入れませんか」とか
「カバーは本文に出て来るアイテムを
ロココ調(?)に描き下ろすのはどうでしょう?」など提案。


執筆が佳境なサイトーさんとって
僕のリクストは結構ムチャなお願いだったが
サイトーさんは素敵に応えてくれました。
お陰で間口の広い、手に取り易い装幀になりました。

清水良洋

僕はなぜ小屋で暮らすようになったか

書名:僕はなぜ小屋で暮らすようになったか
副題:生と死と哲学を巡って
著者:高村友也
版元:同文舘出版
発行:15年12月8日 第一刷
判型:四六判 縦組 並製


装画:鶴田陽子さん
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー帯
 刷り:オフセット4色
 用紙:アラベール キク判 Y目 76.5Kg ナチュラル
 加工:グロスニス
◎表紙
 刷り:特色(DIC330)1色
 用紙:GAクラフトボード-FS L判 T目 23.5Kg クレイ
◎本扉
 刷り・用紙:本文共紙共刷り


見本頂戴日:15年11月30日


sm160324_04.jpg


本書は著者が、雑木林に小屋を建て、河川敷にテントを張って暮らす
「現在の生活に辿り着くまで」を語った自伝的な内容。


本書は〈お金を掛けずに楽しくシンプルライフ〉という類いのものではなく、
〈この生きづらい時代〉思考の世界と現実的な生活との
折り合いをつけてゆく〈試行錯誤の記録〉なのです。


本書のエピローグに「今の生活を始めたときは、
生きることだけで精一杯になってしまう社会から逃れ~」と言う一節がある。
この一節で「自分に向けられた本だ」と感じる方が居たら
是非、本書を読んで頂きたい。
読後は、自分の中から穏やかに〈希望〉が立上がって来るのを感じると思います。


僕に依頼を頂いた時点で、装画は版元から鶴田陽子さんに依頼済みだった。
鶴田さんのラフ画を元にアレコレと装幀案を作成。
装幀案を検討し、鶴田さんには「コレコレこの様に仕上げて下さい」と
フィードバック。


鶴田さんは意欲的に取り組んで頂き
版画の刷り違いを幾つか仕上げてくださった。

その中を幾つかを印刷所でスキャニングして貰い
僕の方で良い部分を合成し、全体を調整した。


書名がカバーの下部にあり、帯を掛けるとカバーの書名が隠れます。
なので、帯にも書名が入ってます。


帯の書名は50級、カバーの書名は30級です。
書店やweb上での書影は帯付きで書名が大きく、帯を外すと書名は控えめ。
この仕掛けは僕なりの本書への解釈を表わしたものです。


書名の書体に〈はんなり明朝〉を選んだのは
既存のフォントベンダーの書体にはないハンドメイド感や不揃い感が
本書に通底して感じる〈儚さ〉を表わせると思ったからです。


見返しの用紙をヤメました。
「この本には見返しはいらない」と思い提案し同意を得ました。


書店やwebで本書と出会った時
〈静かな森の中の小屋と出会った〉
そんな印象を持って貰えたらと装幀しました。


本書は今回初めて依頼を頂いた版元の仕事。
初めての依頼で、とてもやりがいのある内容に
僕もついついチカラが入り、担当編集のTさんのアレコレと提案。
Tさんはそのアレコレに実に丁寧に対応して下さりました。


追、著者ブログでは、本書上梓後も続く著者の〈試行錯誤〉が綴られてます。

ページの先頭へ戻る