Malpu Design

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制作メモ

デザインで工夫したところ、用紙・加工などの制作にまつわるお話です。

清水良洋

大震災の生存学

書名:大震災の生存学
編著:天田城介 渡辺克典
著者:栗原彬 土屋葉 佐藤恵 野崎泰伸 石井敏
   郭基煥 アンジェロ・イシ 立岩真也
版元:青弓社
発行:15年11月1日 第一刷
判型:四六判 縦組 並製


装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:オフセット4色
 用紙:OKミューズガリバーグロスCoC 四六判 Y目 110Kg ハイホワイト
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DIC195)1色
 用紙:ブンペル 四六判 Y目 175Kg ホワイト
◎見返し
 用紙:ポルカレイド 四六判 90Kg ライム
◎本扉
 刷り用紙:本文共紙共刷り


見本頂戴日:15年10月28日

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担当編集の矢野未知夫さんは版元ドットコムのサイト内コラムで
博士論文を本にする」という投稿をしてます。


売らんかな精神で内容薄っぺらの同じ様な本が書店に並ぶなか、
こういう思想で出版活動に取り組んでいる版元、そして編集者が居ます。


僕は出版活動とは運動であり、版元や編集者は運動体だと思ってます。
そして外部デザイナーの僕はその運動にどういう関わり方をするのかを、
いつも自問自答しているのです(と、そんなのは少数派ですかね)。


本書は「阪神・淡路大震災」と「東日本大震災」経て
社会的なマイノリティの日常がどう変容したかを
10人の執筆者がそれぞれの分野でさまざまな調査の基
丁寧に描出しています。


障害者、高齢者、外国人や移住者など、
どのテーマに触れても読み手に色々な想いを立上がらせます。


都内では『東京防災』が各戸に配布され、
それぞれが備えをしている時だからこそ
こうした問題にも関心を持ってほしいと思います。


矢野さんから「被災地の写真を使うのではなく、
「生存」という言葉のイメージを読者に伝えることに
重きを置くことにしました。
そのため、「花」の写真を使ってはどうかと考えています。
ただ、かわいらしい、あるいはきれいな花、というよりも、
少しクセのある写真、光との組み合わせが印象的な写真を使って
スタイリッシュな印象にするとインパクトが出ると思います。」


と、実に明確な方向性を示して頂いたので
僕はその方向性を杖とし矢野さんの期待想像を越える提案を目指し
かなり粘って画像を探した次第です。

青弓社とのお付き合いは2003年頃数冊ご依頼頂き、
その後は疎遠になってましたが
10年以上振りに依頼を頂きその後はコンスタントにご依頼頂いてます
どれも僕にとって関心アリなテーマで腕の振い甲斐があります。


その疎遠の期間も実は青弓社社主の矢野恵二さんとは
スタイルノート池田さんと出会った版元ドットコムの集まりで
何度となく顔を合わせており、こうしてまた仕事で邂逅するに至り
佐野が「人の関係は惑星の様なもの。グルっと廻って来て突然戻って来たり、
近づいたり、離れたり、接近したり
」と言う通りだと実感する次第。


*追記。
担当編集の矢野さんから「ブログも拝見しました。ご紹介いただいて恐縮です。
デザイナーの「言葉」はなかなか知る機会が少ないと思いますので、
社のツイッターでも紹介しておきますね。」と返信頂き
青弓社のtwitterで拙文を紹介頂きました。こちらこそ恐縮です。

清水良洋

教室英語ハンドブック

書名:教室英語ハンドブック
編者:高梨庸雄 小野尚美 土屋佳雅里 田縁眞弓
版元:研究社
発行:16年2月1日 第一刷
判型:A5判 横組 並製


装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー帯
 刷り:特色(DIC94)1色+セットインキのイエロ−1色+スミ1色=3色
 用紙:コート紙お任せ(白色度の高いもの希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DIC94)1色
 用紙:カード紙お任せ
◎見返し
 用紙:色上質 厚口 やまぶき
◎本扉
 刷り用紙:本文共紙共刷り


見本頂戴日:16年1月7日

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マルプは案件を単独担当にする場合と、
社内数人でそれぞれ提案しる場合があります。
今回は社内数人でご提案し、僕の案が採用になりました。


研究書とか教育現場向けの本って、
保守的というか「いつの時代の本?」というセンスの装幀を
結構見かけるんですよね。


研究者や実務者、そして教育現場に居られる方々が
堅調な装幀を好んで居るのカモですが


そうした方々も職場から一歩出たら
イチ生活者であり、ご自身の暮らしの廻りには
キレイなものから現代的なもの、華美ではないけどセンスの光るもの等々が
身近にあると思うんですね。


でも何故か学参書や教育現場の本は
新刊なのに「いつの時代の本?」的な装幀を結構見かけるんですよね。


今回は手に取り易く、このハンドブックを参考にして授業を行う先生が
明るく晴れやかな気持ちで「よ〜し、授業に臨むゾ」と意欲が湧けばと願い
読者を応援する気持ちで、内容の信頼性を損なわない塩梅の
カジュアルな装幀を目指しました。


担当編集のOさんから「かっこいい+あたたかみのあるデザインで、
数ある英語教育関係の本のなかで、ぱっと目を引く
素敵なデザインの本になると感じております。本当にありがとうございます。」
とメールを頂き、ウレシい限りです。


*追記。
担当のOさんにこの記事を確認頂いたら
「著者たちに見本を送ったのですが「表紙が素敵」と、本当に好評です!
教員の方の授業の準備に、英語表現の予習復習にと、
もしかすると、毎日の生活の中でたびたび
手に取ってもらうかもしれないこの本
このように素敵な装幀にしていただき、ありがとうございました。」
とメール頂いた。こちらこそありがとうございます!


*追記の追記。
研究社のtwitterで拙文を紹介頂きました。恐縮です。

清水良洋

少年法講義〔復刻版〕

書名:少年法講義〔復刻版〕
著者:永田三郎
解題:武内謙治
版元:現代人文社
発行:15年12月30日 第一刷
判型:A5判 縦組 上製


装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー帯
 刷り:特色(DIC374)1色+スミ1色=2色
 用紙:Mr.B 四六判 Y目 110Kg オフホワイト
 加工:マットPP
◎表紙
 刷り:スミ1色
 用紙:ジャガードGA 四六判 Y目 100Kg 苔
◎見返し
 用紙:ジャガードGA 四六判 Y目 100Kg しろねず
◎本扉
 刷り用紙:本文共紙共刷り
◎ヘッドバンド
 113(伊藤信男商店)
◎しおり
 21(伊藤信男商店)


見本頂戴日:15年12月24日

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装幀に対しては特にご要望はナシとの事。
解題者の武内先生の前著を僕が装幀し
その装幀を先生がお気に召されているので今回も依頼を頂きました。


「特に何かビジュアルは用いず、文字のみで行きますかね」と
軽い感じの打合せしていたら、印刷入稿が近くなった頃に担当編集のKさんから


解題者から「レトロな感じにできないだろうか」との希望が出てきました。
ご参考までに、復刻の底本となった雑誌の表紙コピーをPDFでお送りします。


とメール!昔のものをそのまま使ってなぁ~と、しばし考える。
僕は「少年法」の基本は、更生をさせてそして未来へと導くものと思ってます。
だから明るく希望を感じる装幀にしたかったので
アレコレ考えハトが飛び立つカットを入れる事にしました。


ハトのカットはイラストレーターに描き下ろしてもらう選択肢もありましたが、
手持ちの古本のカット集からイメージに合うカットを探し
それを調整して使う事にしました。


新しくレトロを意識して描き下ろしたハトよりも
古本から拾ったハトのカットの方が
独特な雰囲気や惹きが生まれ、今回の狙いにピッタリだと考えました。


近頃はもうしてませんが、若い頃は出先で古本屋や古本市があったら
カット集やレタリング集の古本をよく購入していたのが今回役立ちました。


最近は古いレタリングやカットを集めた本を見かけますが
若いデザイナーは自分だけの資料やネタとして
自分でコツコツ探して古本を集めておくのもイイですゾ。


この装幀、古本からのハトのカットも効果的ですが
なんと言っても書体「モリサワ 解ミン 宙」がレトロ感を強めてます。


刷りは何色も使うより1色でイケると判断しました。
定価やバーコードの部分以外は特色1色です。
ベタ部分やアミの違い、ハトを白く抜くなどで奥行きを出してます。


見本に添えてあったKさんの手紙に「立派な中にも、どこかユーモラスな
デザインで社内でも大評判です。」と書いてあり、ウレシい限りです。


レトロという事でチト思い出した事を別館に書きました。

清水良洋

還暦川柳 60歳からの川柳

書名:還暦川柳 60歳からの川柳
副題:遺書を 酒の肴に 毎夜変え
編者:公益社団法人全国老人福祉施設協議会・別冊宝島編集部
版元:宝島社
発行:16年1月26日 第一刷
判型:四六判 縦組 並製


イラストレーション:森俊憲さん
写真:武藤奈緒美さん 高部哲男さん
本文デザイン:佐野
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー/
 刷り:オフセット4色
 用紙:OKミューズガリバーグロスCoC 四六判 Y目 110Kg ハイホワイト
 加工:グロスニス
◎帯/
 刷り:オフセット4色
 用紙:コート紙お任せ(白色度の高いもの希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DIC179)1色
 用紙:カード紙お任せ
◎見返し
 用紙:ポルカレイド 四六判 Y目 90Kg トウフ


見本頂戴日:15年12月28日

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『還暦川柳』一昨年と去年と続き3冊目になります。


ご老人の川柳本がいくつも売れていて、その後発本です。
打合せの際「どうしたらイイですかねぇ〜」と相談されたので
「売れてる先行本ってどんななの?」と質問したら
「1冊は面白い絵が入ってて、もう1冊は写真が入ってます」との事だったので
「じゃ、面白い写真と絵だ」
「絵は猫ちゃんをキャラクターにして本書の印象を深めましょう!」と即答。


同じ編集チームで過去に「俊介(さん)」という犬本の
1冊目2冊目の装幀をマルプが担当しまして、その本の写真担当の武藤さんが
日常の面白い写真を撮っていたのを僕が憶えていたので
「写真は武藤さん」と即決でしたがさて「絵はどうしようかな」と、。
新味感があり老若男女(特の老)に親しみの持てる猫キャラ...と
佐野が森さんを探して当てました。
森さんの描く猫ちゃんは猫好きならではの温かさと愉しさを感じます。


さぁ準備は出来た!とスタートし年1回、今回で3冊目のシリーズに育ちました。
ブックデザイナーって、レイアウトするばかりが仕事じゃないんですよ。
広告だったらCD(クリエイディブディレクター)的な役割もするんです。
昨年はNHK『クローズアップ現代』で書影が映ってウレしや。


猫ちゃん好きの方は別館もどうぞ