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制作メモ

デザインで工夫したところ、用紙・加工などの制作にまつわるお話です。

2016年2月の制作メモ

清水良洋

二・二六 帝都兵乱

書名:二・二六 帝都兵乱
著者:軍事的視点から全面的に見直す
訳者:藤井非三四
版元:草思社
発行:16年2月8日 第一刷
判型:文庫判 縦組 並製


カバー写真:共同通信
装幀・文庫カバーフォーマット・帯:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:オフセット4色
 用紙:規定用紙
 加工:マットPP
◎帯
 刷り:特色1色(DIC517)+スミ1色=2色
 用紙:規定用紙


見本頂戴日:16年1月26日

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今年は二・二六事件から80年目。
二・二六関連記事も見かけます。


著者の藤井非三四さんは日本陸軍史、朝鮮戦争史を専門とする研究家。
副題は「軍事的視点から全面的に見直す」となっている通り
軍人が起こした出来事を、軍事的な側面に焦点を絞り、
戦史として掘り下げています。


でもその軍事・軍制だけでなく、当時の社会通念や世相
軍内部の人間関係、青年将校たちの気分
東京の〈その時〉の空気も描いてます。


カバーの写真は「緊張してカメラマンに銃口を向ける兵士」として有名。
弊社でも別件で使用してますね。
この時は人着写真の様に色を着けてますが
今回は色アミをノセて、書名など文字がシッカリ見える様にし
デザイン的に変な事はせず、
信頼性を感じて貰える様真っ直なものにしました。


一昨年、気の置けない仲間たちと湯河原温泉に一泊しました。
こんなお誘いや旅は「今後ないカモなぁ~」というくらい
リラックスした旅でした。


その折りに〈光風荘〉を見学しました。
二・二六事件で唯一東京以外の現場です。
地元の方が説明をして下さり
貴重な現場と資料を丁寧に拝見する事が出来ました。


ネットが便利な時代ですが
だから旅先や記念日などを
こうした切っ掛けに歴史に思いを馳せてみては如何でしょう。

清水良洋

愉しい落語

書名:愉しい落語
副題:江戸以来四百年、そして未来へ
著者:山本進
版元:草思社
発行:13年12月18日 第一刷
判型:四六判 縦組 並製


装画:化猫マサミさん
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:オフセット4色
 用紙:OKミューズガリバー マット 四六判 Y目 110Kg ハイホワイト
 加工:グロスニス
◎帯
 刷り:特色(DIC(フランスの伝統色)F82)1色+スミ1色=2色
 用紙:コート紙(何でも可お任せします。白色度の高いものを希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DIC621)1色
 用紙:GAしずく 四六判 Y目 170Kg 焦茶
◎見返し
 用紙:GAえんぶ 四六判 Y目 90Kg 赤茶
◎本扉
 刷り・用紙:本文共紙共刷り


見本頂戴日:13年12月5日

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著者は戦後すぐの東大落語研究会時代から始まって
以来60年以上〈一介の市井好きもの〉として
落語研究や芸能史研究に携わってきた方。


落語入門書が数あれど、
愉しみ方から素朴な疑問まで
著者ならではの肩の凝らない内容です。


「落語はみんな新作だった」「古典落語はいつから?」
「落語家は何人いるのか?」「寄席以外の収入」
「万歳から漫才へ」「講談は偉い人の物語」
「怪談も人情噺」「遠山の金さんの功績」等々。
目次からの抜粋ですが、どうですかぁ~面白そうでしょ~。


そして本書の最後には「落語の未来」について語ってます。
決して懐古趣味だけの「落語入門」でなく、また特定の噺家評でもない
大きな枠の中で、自在に落語愉しみ方を説く本書の装幀は
〈爺むさい〉いつかどこかで見た事のある落語入門の様にはしたくなく
「今現在も〈落語を発信し続けてる〉ものってなんだろう?」と考えた時に
『笑点』の大喜利を思い出しました。


化猫さんは和風だけどモダンな印象の
クスっと笑わせるユーモアを含んだ絵を描きます。
そんな化猫さんに噺家の「誰?」という事でなく、
でも居そうな感じのリアリティある噺家を描いてもらいました。
なんだか大喜利の愉しさが伝わって来るでしょ。


落語をよく知らない方から
結構ご存知の方まで愉しい入門書です。
是非読んでみてください。


*16年2月のマルプギャラリーは化猫マサミさんの個展
こちらも是非!

清水良洋

オール・イン

書名:オール・イン
副題:実録・奨励会三段リーグ
著者:天野貴元
版元:宝島社
発行:14年3月26日 第一刷
判型:四六判 縦組 並製


写真:ゲッティーイメージズ
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:オフセット4色
 用紙:コート紙(何でも可お任せします。白色度の高いものを希望)
 加工:グロスPP
◎帯
 刷り:特色(DIC331)1色+スミ1色=2色
 用紙:コート紙(何でも可お任せします。白色度の高いものを希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:スミ1色
 用紙:タント 四六判 Y目 180Kg N-4 
◎見返し
 用紙:タント 四六判 Y目 100Kg R-3 
◎別丁扉
 刷り:特色(DIC524)1色
 用紙:タント 四六判 Y目 100Kg R-5 


見本頂戴日:14年3月8日

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棋士・天野貴元さんの自伝です。


天野さんはプロ棋士ではありません。
天才少年と将来を嘱望されながら
その才能からの自尊心やあせりからか
将棋には真摯に対峙しつつも
中学生の頃から酒、競馬、麻雀、キャバクラ、一日6箱のタバコ。
プロ入り目前ながら年齢制限でアト1歩届かず。


その後は将棋普及に尽力しながら
プロ雀士を目指す。
そして「舌がん」の宣告、舌を切除ーー。


「28歳で中卒、資格なし言語障害という、将棋で言うなら
「序盤で王手飛車」級のビハインドを背負ってしまった僕だが、
会心の逆転劇を連発していたあの黄金の日々の記憶を支えに、
これからも攻めの姿勢で行きていきたいと思う。」
と、天野さんはあとがきで記してます。


本書、重い内容ではありますが
これが読み易く、ひと言ひと言が響いてきます。
そして読後感は清々しさに溢れるものです。


本書の担当編集Kさんとは何冊もご依頼頂いてますが
このような内容の本であっても清々しい読後感に仕上がり
編集の妙味に毎回感嘆してます。


本書もKさんが企画し天野さんに打診したそうです。
『オール・イン』はカジノ用語。
「手持ちの賭け金を全てゲームに投じること」
人生の全てを将棋に賭けた天野さんを表わす書名です。


本文を読んだ印象と、ブログでの天野さんの言葉や姿から
装幀は〈天野貴元の本〉にしたく、
探した画像を色調補正し、書体を加工し
〈他の将棋本ではなかなかやらないだろう〉アンダーな世界観を作りました。
帯には奨励会時代の対局中の天野さんの写真を入れました。
面白い内容に自分でも気に入った装幀が出来ました。


見本出来し喜びの天野さん
書店を偵察する天野さん
そして「第26回 将棋ペンクラブ大賞 文芸部門大賞」を受賞。
天野さんとお目に掛かりませんでしたが
すっかり天野さんの魅力に惹かれ僕はブログをよく拝見してました。


15年10月28日にKさんからメール。
「今日の未明に『オール・イン』の天野君が亡くなりました。 」
天野さんの最近の病状や本書について気持ちも綴られました。
そして「彼はペンクラブ大賞を受賞したときにも、
「本をデザインしてくれた人にお礼をしたい」 ということを言っていて、
「いつでもセットするから」と言いつつ、
機会を逸してしまったことが 悔やまれます。 」


お目には掛かれませんでしたが
友人を亡くしたようなおもいです。
ご冥福をお祈りします。


棋譜には全く同じものがないそうです。
他には無い天野さんの人生、
是非『オール・イン』を読んでみて下さい。

清水良洋

中国語で案内する日本

書名:中国語で案内する日本
副題:中国語のプロが教える日本文化紹介のコツ!
著者:塚本慶一 芳沢ひろ子
版元:研究社
発行:15年11月1日 第一刷
判型:四六判 横組 並製


挿画:山口晴代さん
本文デザイン:佐野
装幀:清水


刷り・用紙:
◎カバー
 刷り:プロセス版のセットインクMYK=3色
 用紙:コート紙(何でも可お任せします。白色度の高いものを希望)
 加工:グロスPP
◎表紙
 刷り:特色(DIC196)1色
 用紙:ご都合の良い用紙でお願いします
◎見返し
 用紙:やよいカラーR 四六判 Y目 100Kg しらちゃ
◎本扉
 刷り用紙:本文共紙共刷り


見本頂戴日:15年10月9日

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旧正月(春節)でしたね。
先日の関西行で大阪城に立寄ましたが
中国からの観光の方ホント多かったです。


著者は〈中国語通訳の草分け〉と〈通訳ガイド〉のおふたり。
そのおふたりならではの行き届いた内容。
定番の観光の温泉、神社、スキーなどでの場面
家電量販店やドラッグストアなどでの買い物
居酒屋での乾杯や相撲の説明など38の状況別ダイアログにまとまってます。


装幀は観光ガイドだけの印象にならない様
スカイツリーや冨士山などのシルエットは用いず
堂々と日本列島の図をドットにして柔らかいイメージとして配しました。


刷りはプロセス版のセットインクMYK3色で賄いました。
彩度のある特色を用いる選択肢もありましたが
そこまで〈跳ねた〉感じではなく「落ち着つきも欲しいな」と
セットインキの掛け合わせにしました。


本書は〈語学勉強〉や〈ガイド〉にとどまらず、
中国の方々とのコミュニケーションも学べ
僕は〈おもてなし〉の一冊だと思います。


制作中は「WELCOMEようこそ日本へ~♪」と口ずさんでましたよ。
観光来日が切っ掛けで、中国人と日本人との交流が生まれたらと願います。


*追記。
担当編集のOさんから「「観光ガイドだけの印象にならない」の部分、
記事を拝読しながら「そうなんです!」と言ってしまいそうになりました。
本の内容をそのまま体現していただいたような素敵な装幀にしていただき、
本当にありがとうございました。」と頂きやれウレシ。

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